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トライ&エラー

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【第01章】自社ホテルでトライ&エラー

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茨城県笠間市のR50から1本脇道に入ったところ、古くからあるホテル街にホテル「S」は位置します。
地方・ロードサイド型のホテル街はおおむね売上が減少し経営が苦しい。飲酒運転の取り締まり強化の影響のほか、若者が車で遊びに行かなくなるなど不況のあおりを強く受けています。笠間のこのホテル街も例外ではありません。

ここの笠間のホテル街(国道50号線旧道沿線500mにレジャーホテル9軒が立ち並ぶ)では、地域1番店からせいぜい3番店あたりまでがそのエリアのお客様の大半を持っていってしまいます。需給のバランスで言えば、ホテルの数が多いのです。競争に負けたホテルは、積極的な投資もできないまま日々の経費削減で事態を乗り切ろうとしますが、にぎわいの消えたホテルからますます人気(ひとけ)がなくなるばかりの悪循環となります。

平成19年に月間売上が500万円~600万円であったものが、その後、毎年20%前後の売上ダウンが続き、平成22年7月、当社購入の頃には、毎月の月売上が250万円を下回っています。22ルームですから、1室あたりの売上が10万円前後となります。

月10万円というのは、レジャーホテルの売上としては、かなりわるい。

経費削減に徹したとしても、人件費等営業経費を支出すると、よくてトントンか、実際にはマイナスです。

マイナスのホテルをわざわざ買ったのは、このホテルが価格的に手頃(3600万円)だったということ、建物がしっかりしていてまだ当分使用できそうだということ(新築で建てると数億円します)、大規模なリニューアルをしなくても当面営業できる状態(室内、建物設備等)であろうということなどが判断材料となります。

もちろん、購入後、売上をあげなくてはなりません。

再生させる自信があるから購入したとはいうものの、地方で売上がダウンしているホテルを買うというのは、一般の方よりはるかに市場がわかっているはずのプロであっても、神経を使います。
地方のレジャーホテル経営は数年来、ほんとうに厳しく、難しくなっています。多店舗を経営しているノウハウがあるはずの運営者であっても、うまくいかないということも普通に起こっています。(当社が購入した当ホテルも多店舗経営のチェーン店が運営していました。)
地方郊外型のホテルエリアの落ち込み方は一部の成功店を除いてかなり激しく、今の時期、地方エリアに参入するということは、怖いものです。もっとわるくなるのではないか、投資をしても回収ができないのではないか、出ていったところで立ち往生するようなことはないだろうか……、市場の先行きが読みきれず見送られる方が多いようです。

では、どうして買ったのでしょうか?

今、レジャーホテルの物件価格は底値です。経営の不況感においても底ですが、底を抜けた先に若干、明りがあるように感じます。(限定的ですが少しずつお客様が戻ってきているような気配もないことはないのです) とくに落ち込みが激しかった地方のホテルでは、この数年の不況に持ちこたえられず閉店(廃業)にいたった、あるいは開店休業状態になっているホテルが増えています。(このホテル「S」も近い将来そうなるだろうと感じられるホテルでした)そうなると、エリアでなんとか踏ん張り残ったホテルについては、今後、大きな投資(改装等)をせずとも、今まで以上のお客様を集客することが期待できます。たとえば、あと半年くらい(来年になれば)がんばれば(持ちこたえれば)、上向くかもしれません。

撤退するホテルが相当数になることによって需給バランスが整うということのほかに、エリアの中でがんばって、1番店から3番店として営業ができれば、将来への期待ももちながらのレジャーホテル経営が十分成り立つと考えます。
(自店のことだけではなく、自店ががんばることによって、そのエリア全体の集客力にも良い影響を及ぼすことも可能です。自店も良くならなくてはならないですが、エリアも良くならなくてはなりません。)

そうした判断をもとに、このホテルを購入したのですが、地方のホテルで、しかも売上がたいへんわるい物件を購入する理由としてはそれだけでは説明が不足します。それくらい、地方ホテルを今購入するということについては、市場リスクを含めて、考えれば考えるほど、慎重にならざるをえないからです。

ほかに購入した理由ですが、たまたま、「笠間」という立地をよく知っていたからです。
(筆者(山内和美)は、当ホテルの隣の隣のホテル「イーアイコート笠間」の支配人をつとめたことがあります。平成17年夏~秋、高速常磐道を毎日往復し、一時期ではありますが、自ら望んで支配人を経験しました。集中的に取り組みをした結果、「イーアイコート笠間」の売上は、ほぼ2倍にあがりました。)

だから、あえて買い時(物件価格が下がっている)をチャンスととらえ、物件を購入したのです。理論だけではなく、自分が体験しているからこそ持てる納得感がないと、他人が買わない物件、買わない時期に、あえて購入するという覚悟をもつことは困難であろうと思います。

地方のレジャーホテル物件は高度な見極めの能力が要求されます。そして、経営も、実際にはかなり難しいです。レジャーホテルを経営・運営するということは、アパートマンションを経営するよりはるかに手間がかかり、営業の一部においては店を切り盛りする底力がなくてはならず、日銭商売なので顧客心理も読みとらなくてはなりません。とくに、商習慣等が異なる地方においては、そこの地の人・お客様に慣れるだけでも、苦労があるものです。

筆者(山内和美)はレジャーホテル運営を専門とする者ではありません。コンサルタントとして、レジャーホテル物件取得のお手伝いをするほか、全国のレジャーホテルオーナー様からご相談を受けて、それぞれのホテル固有の課題解決のお手伝いなどをしています。

初めて行った地のレジャーホテルであっても、そのホテルの問題点はすぐにわかります。そのホテルのいいところと、わるいところ、それをどう改善していけば良いか、かなりはっきりイメージできます。
客観的になにが問題であり、それを具体的にどう解決していけば良いのか、そうした問題解決のお手伝いをしています。

「自社ホテルでトライ&エラー」では、当社代表 山内和美が、コンサルタント(専門的にアドバイスする者)の領域と、運営の思い通りにいかない現実との兼ね合いの中で、どうこのホテルを事業再生していくか、皆さまに開示するものです。

数年にわたって、地方のホテルオーナー様から苦しい声をたくさんきいてきました。「ずっと売りに出しているけど買い手がつかない」「売上が落ち込んで苦しい。もう、どうにもならない」

筆者(山内和美)自らが、地方の売上が落ち込んでいるホテルを実際に経営しながら事業再生することができれば、困難に在るオーナー様の励みにしていただけるところもあるのではないか、そういう思いに至りました。再生事例があれば、物件の売買(流通)にも多少でも貢献できるようにも思います。(ホテル物件の成約を目標に、2009年3月、レジャーホテル売買マッチングサイト「トラストウィン」http://www.trustwin.jp/の運営をスタート。とくに、なかなか売買がまとまらない地方のホテル物件の成約を目指しています)

「自社ホテルでトライ&エラー」では、やってみてよかったこと、当たったことはもちろん、はずれたこと、うまくいかないエラーも含めて、地方ホテル経営の実態として、その試みを随時、開示いたします。

地方でのレジャーホテル経営がうまくいかず、悩まれている経営者の方々の参考になればという思いと、お読みいただく皆さまに、レジャーホテル経営・運営を身近なものに感じていただきたいという願いから、情報開示を決意いたしました。

平成22年9月1日 株式会社ハート・トラストウィン 代表取締役 山内和美


茨城県22ルーム

ホテル「S」(茨城県笠間市笠間)22室

平成22年7月30日(金)残代金決済・引き渡しを受ける

■売買代金:3600万円(消費税込)
■平成22年度評価額: 
●土地:約1830万円(非線引区域、面積:約1000坪)
●建物:約9520万円
   (鉄筋コンクリート造、3階建、平成1年建築、延床面積:約324坪)
※一室当たり月売上:約10万円

レジャーホテル投資の場合、利回りがいいからこそ投資するというのが通説であり、今回のこうしたホテル投資を、さて、どう解釈しましょうか……

レジャーホテルは、立地が第一
しかしリニューアル投資と運営努力で売上をあげることは可能です。

このホテルのどこを改装するのでしょうか。コストはどれくらいかけるのでしょう?かけた分は一体いつ頃、回収できるのでしょう?費用対効果の高いリニューアル投資とはどういうものなのでしょうか。改装、設備投資のポイントは?運営はどういうやり方をするのでしょうか?オペレーションの善し悪しはどこで判断できるのでしょうか。

今後、「自社ホテルでトライ&エラー」を継続してお読みいただければ、そうした疑問が、すっきり腑に落ちて、レジャーホテル経営のポイントがおわかりいただけると思います。